相続コンサルタント/FP/行政書士の野積です。
いつも、ブログをお読みいただき、
ありがとうございます。
暑い暑いと思いつつも、空を見上げると
雲の流れが、少しずつ秋の気配です。
■連帯保証人の父親が亡くなったら相続はどうなる
会社の経営者は、仕事の関係で連帯保証人に
なっている場合が多いと思われます。
もし、あなたの実家が事業を営んでいて、
父親が社長という場合には、父親が会社の借入に
対する個人保証、あるいは取引先から頼まれて
連帯保証人となっている可能性が高いです。
その父親が亡くなって、相続が開始したら、
その連帯保証債務はどうなるのでしょうか。
相続人は、被相続人(この場合は、父親)が
死亡したときに持っていた財産上の一切の
権利義務を引き継ぐ、ということが大原則です。
法律では、これを「単純承継」といいます。
今回のケースでは、相続人(配偶者や子)は、
父親の連帯保証人としての債務を引き継ぐ
ことになります。
◎連帯保証債務とは
連帯保証債務について、簡単に触れておきましょう。
まずは、「保証」です。
保証とは、
「保証人は、主たる債務者がその債務を履行
しないときに、その履行をする責任を負う。」
(民法446条)
債務というのは、要するに「借金」ということです。
借金、法律的な言い方では、「金銭消費貸借」
です。
登場人物は、以下の2者で完結します。
甲:お金を貸す人
乙:お金を借りる人
しかし、、、もし、お金を借りる人が
きちんと返済してくれないと、貸した人は
とても困ります。
そこで、甲さん
「乙さん、あなたを信じていないわけじゃないが
万が一のとき、あなたに代わって借金を返して
くれる人をつけてくれませんか?」
で、乙さん
「私は、きちんと返済するつもりですが、
万が一の時は、丙さんに返済してもらうようにします。」
ということで、第三の人物「丙」さんが登場
してきました。
ここで、乙さんは「主債務者」、丙さんが「保証人」です。
今回のケースでは、父親が丙さんの立場ですね。
次に、「連帯」保証という、「連帯」の意味。
これはとても強力なものです。
簡単にいうと、、、
乙の責任=丙の責任
本来、丙の責任は、乙が自分の財産を
全て処分しても、なおかつ返済不能という
場合でないと、借金の返済は求められません。
しかし、連帯となると、そうはいきません。
乙が返済できないとなった瞬間に、丙に
請求がきます。
連帯保証人の父親が亡くなり、相続が開始すると
上で説明したような「丙」の責任も相続の
対象になる、ということです。
乙がきちんと返済している間は、特に何も
問題はありません。
しかし、乙の返済が不調になると、その瞬間
丙が負っている返済義務が現実のものになります。
言ってみれば、「連帯保証債務」というのは、
いつ発火するか分からない時限爆弾のような
ものです。
実家が事業を行っている、という方へ。
父親が連帯保証人になっているかどうか、
きちんと確認しておくことをおすすめします。
◎相続放棄により免れることも
とはいえ、相続人からしてみれば、父親が
連帯保証人になってた責任まで、負いたくない
ということもあります。
そのための手続きとして、「相続放棄」が
定められています。
詳しくは、また別のブログでご説明します。
■■ 編集後記 ■■
父親が連帯保証人になっているかどうかは、
本人が家族に話さない限り、分かりません。
実務上は、保証契約書を作成しているはず
ですが、その契約書自体が見つからないと
その他の家族は、なかなか分からないでしょう。
父親が亡くなり、相続が開始したときは、
真っ先に父親が保管していた重要書類を
チェックしましょう。
その中に、「連帯保証人」になっている
契約書が見つかったら、早急に対応を
検討する必要があります。