相続とは、人が亡くなった場合に、その人の所有に属する財産(預金や不動産など)を、相続人(配偶者や子供など)の所有に継承、変更する手続きです。相続は、人の死亡と同時(通常は、医師が死亡を確認した日時)に開始します。
相続の基本的なルールは、民法の第五編「相続」に定められています。一方、相続税については、相続税法に定められています。その他に、不動産、戸籍や住民票等に関する手続きなどが必要な場合もあります。
亡くなった人を「被相続人」、遺産を受け取る人を「相続人」といいます。法律ではよく「被○○人」という表現が出てきます。「被」は「○○される」という意味で、「被相続人」とは「相続される人=亡くなった人」ということになります。一般に使われない言葉なので、何となくまぎらわしいですね。
親の生前に、不良行為(親や他の相続人への暴力、強迫による遺言の撤回、殺人など)を行った相続人は、相続の権利を失う場合があります。また、被相続人は、推定相続人から侮辱などを受けた場合には、家庭裁判所に対して相続人の廃除を請求できます。
相続人が亡くなると、その子供、孫、ひ孫・・などに相続する権利が移っていきます(“代襲相続”といいます。)。ただし、相続人が「相続放棄」の手続きを行った場合には、相続の権利は移っていきません。
国税庁が公表している「財産評価基本通達」という通達に基づいて、計算します。たとえば土地は「路線価」、家屋は「固定資産評価額」、有価証券は市場価格などです。
現金・預金、不動産、有価証券、貸金債権などほぼ全てが対象になります。但し、養育権のような被相続人の属人的な権利は対象になりません。
以下の計算結果がプラスになると、相続税が課税される可能性があります。なお、課税価格算定や各種控除の適用など、実際はかなり複雑なので、相続税に詳しい税理士に相談することをお勧めします。
(H27.1.1以降の相続の場合)
課税価格の合計額-基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)=課税遺産総額>0円全ての相続人が合意すれば、遺産をどのように分けても自由です。実行上は「この土地建物は○○へ、現金預金は△△へ、自動車は□□へ・・」などと、現実のモノを対象に分けるケースが多いです。
親の生前に多めにお金をもらっていた相続人は、遺産分けの際にその分を差し引くことになります。但し、A9でも記載したとおり、分け方は自由なので、全相続人が合意すれば何でもありです。
親の借金を引き継がない手続きがあります。一つは「限定承認」、もう一つは「相続放棄」です。
「限定承認」は、プラス遺産(現金など)の範囲で借金を返済し、それを超えた借金は免除になります。「相続放棄」は、相続人の立場を放棄して、最初から相続人でなかったことにする手続きです。様々な手続きが発生しますが、最終的には国の財産になります。
「遺言書」がある場合には、「遺言書」を証拠書類として、銀行や登記所で遺産分けの手続き行います。「遺言書」がない場合は、子供たちで遺産の分け方を相談し、話がまとまったら、その内容を「遺産分割協議書」という書類にします。銀行や登記所に「遺産分割協議書」を証拠書類として提示することで、遺産分けの手続きを行います。
「遺言書」の記載内容に不備があると、その箇所については無効になります。
不備の例:銀行口座の名義や口座番号の誤記載、不動産の地番や建物番号の誤記載、相続人の氏名誤記載など。遺言書に書く内容は、原則自由なので、「全財産を相続させる」との記載は有効です。但し、他に相続人がいる場合に、その人(他の相続人)から最低限の取り分(法律で決まっており、遺留分という。)を分けてくれ、と主張されるとその範囲では拒むことができません。
上でも書きましたが、相続人が持っている最低限の取り分のことです。なお、遺留分の権利を持っているのは、被相続人の配偶者、親や子供などで、兄弟姉妹には権利はありません。
遺言書を自筆で書いて実印を押すことは必要ですが、民法で定められた形式、内容でないといろいろ書いても無効になります。
改めて別の「遺言書」を作成し、その中で以前に書いた遺言書と異なる内容を書けば、取り消すことができます。
仏壇やお墓は、遺言書で指名された人や、相続人どうしで話し合って決めた人が引き継ぎます。
可能です。手続きとしては、被相続人が生前に遺産を渡したい人と「贈与契約」を締結、あるいは遺言書の中で対象財産を「贈与する」旨を記載します。但し、遺言書については、他に相続人がいる場合に、相続人が反対して別に「遺産分割協議書」を作成すると、贈与できません。
処分できます。処分した財産については、遺言書を取り消したものとみなされます。
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