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相続コンサルタント/FP/行政書士の野積です。

いつもブログをお読みいただき、
ありがとうございます。

少しづつ、秋の気配が感じられる
このごろです。

■お腹の中の赤ちゃんは相続できるか

以前、「誰が相続人になるのか
というタイトルで、相続人の範囲について
ご紹介しました。

相続人の範囲として、まず「配偶者」は
常に相続人になります。

配偶者以外の相続人の順位は、以下の
とおりです。

第一順位:子(養子含む)
第二順位:尊属(親、祖父母など)
第三順位:兄弟姉妹

上位の順位の相続人がいれば、それ以下の
順位の人は、相続人にはならない、という
ルールです。

即ち、被相続人に子がいれば、その子が
相続人になるため、尊属や兄弟姉妹が
相続人になることはありません。

そこで、今回のテーマ。

お腹の中の赤ちゃんの相続権は

妻が妊娠しているときに、夫が不幸にして、
亡くなってしまったとき、夫の遺産相続は
どうなるのか、ということです。

夫の相続開始の時点で、妻は妊娠していますが
出産前であり、子はいません。

法律的に、人は一体、いつの時点で「人」と
されるのでしょうか。

これは民法第3条「私権の享有」に書いてあります。
「私権の享有は、出生に始まる。」

「私権の享有」という、ちょっと難しい表現が
ありますが、意味は「人としての権利・義務の
主体者となる。」ということです。

「出生」即ち、この世に「オギャー」と産声を
あげたときから、法律的には「自然人」として
権利・義務の当事者ということで、相続人になります。

しかし。。。今回のケースで、もう既にお母さんの
お腹の中にいる赤ちゃんも、生きています。

もし、他に兄弟がいたとして、数カ月以内に
生まれてくる赤ちゃんに相続権がないとしたら、
不公平ではないでしょうか?

ということで、相続に関しては例外規定を設けています。

民法第886条「相続に関する胎児の権利能力」
「胎児は、相続については、既に生まれたものと
みなす。
②前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、
適用しない。」

この定めにより、夫の相続開始の時点で、妻の
お腹の中にいる胎児には相続権があります。

ただし、それは「生きて産まれてきたときに」
という条件がつきます。
それが、条文の②の意味です。

ここは、細かいことを言うようですが、大事な
点です。

赤ちゃんの体の一部でも母胎から出て、
その後に亡くなったということであれば、
出生後の死亡となります。

この場合には、夫(子からみれば父)の遺産は、
まずこの赤ちゃんが相続します。

一方、お母さんのお腹の中で亡くなっていた場合には、
条文の「胎児が死体で生まれたとき」に当たり、
相続は発生しません。

医学的にはちょっとの差かもしれませんが、
相続に関しては、重大な違いになります。

いずれにしても、胎児がいる場合には、
産まれるまでは遺産分割は行わないことを
おすすめします。

■■ 編集後記 ■■

今回は、「赤ちゃんが産まれる!」という
ハッピーな出来事にからむ、生々しい
話題になりました。

ぜひ、元気な可愛い赤ちゃんの顔をみたい
ものです。

しかし一方、相続という利害がぶつかる
状況では、法律上の判断が求められる
ということですね。

民法は、一見冷たい条文の塊のようですが、
こういうところに、人情の機微を紛れ込ましています。

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