<スポンサーリンク>

相続コンサルタント/FP/行政書士の野積です。

いつもブログをお読みいただき、
ありがとうございます。

■親が身元保証人になっていたら

「身元保証人」という言葉は、多くの方が
ご存知と思います。

登場する主な場面は、就職のときです。

親戚や知り合いから頼まれたり、逆に
頼んで「身元保証書」を作成した方も
多いかと思います。

もし、親が他人の身元保証人のときに
亡くなったら、その保証人としての地位は
どうなるのでしょうか。

身元保証人としての地位も、親の権利義務に
含まれるもの、ということになると、相続の
対象になりそうです。

しかし、その地位を承継したとしても、
身元本人のことは、何も知らないという
ことはありえます。

そのような、どんな人物か分からない身元本人の
保証まで引き継ぐというのは、いかがなものか、
とも考えられます。

民法を確認してみましょう。

民法896条「相続の一般的効力」
「相続人は、相続開始のときから、被相続人の
財産に属した一切の権利義務を承継する。
ただし、被相続人の一身に専属したものは、
この限りでない。

条文の後半に、「一身に専属したもの」は
相続財産には含まれないとあります。

ということは、身元保証人としての義務が
一身専属的かどうか、ということが重要に
なります。

一身専属的な権利義務の例

一身専属的な権利や義務というのは、
その人ならではの人間関係や職務、才能
などから生じるものと考えられています。

ある人が、画家に自分の自画像を描いて
もらうことを依頼したとします。

その後、自画像が完成する前に、その画家が
亡くなってしまったとしましょう。

そうすると、その画家の配偶者や子は、
自画像を完成させる、という義務を
相続するのでしょうか。

これは不可能ですね。
その画家ならではの才能があってこそ
自画像を描けるわけですから、その義務は
相続の対象にはなりえません。

このような義務は、一身専属的といえます。

身元保証債務は一身専属的か

実は、身元保証というのも、この画家の例と
類似したものがあります。

一般に、身元保証人と身元本人との間には
特別の信頼関係が基礎にあると考えられます。

この身元保証人の身元本人に対する信頼は、
身元保証人に固有のもの、即ち一身専属的な
ものです。

従って、身元保証人だった親が亡くなったときは、
身元本人と交わした身元保証契約の債務は、消滅
することになります。

債務を承継する場合も

ただ、身元本人が会社に損害を与えており、
その損害賠償を身元保証人の親が引き受ける
こととしていた、などの特段の事情があるときは、
これは具体的な金銭債務となるので、相続の
対象になります。

 

なかなか、このようなことを、親と話す機会は
少ないかもしれませんが、将来の相続人としては
知っておいたほうがよいですね。

■■ 編集後記 ■■

身元保証人をしていた親が亡くなったあと、
身元本人が勤めている会社から、あなたに
「相続人だから、身元保証人の責任を
引き継いでもらいます。」
というような連絡があったら、今回の
内容を思い出してください。

あなたが、身元保証人になるかどうかは、
身元本人との信頼関係が基礎になります。

会社側の一方的な申出に応ずる義務は
ありません。

<スポンサーリンク>

<スポンサーリンク>