相続コンサルタント/FP/行政書士の野積です。
いつもブログをお読みいただき、
ありがとうございます。
一雨ごとに、秋に近づいている感じです。
季節の変わり目、体調にご留意ください。
■遺言と遺書は同じものか、
遺言と遺書この2つの言葉、
違いは、それぞれ一文字だけです。
「言」と「書」ですね。
漢字は表意文字のため、たった一文字でも
その意味が伝わってきます。
言:言葉を声に出すこと
書:言葉を文字に記すこと
まあ、だいたい常識的には、このような
意味でしょうか。
また、遺言書という言葉もあります。
ここに、「書」が入っています。
遺言と遺書、どうも紛らわしいですね。
そこで、ウィキペディアで用語の意味を
調べてみました。
【遺言】
2つの使い方があります。
①日常用語
形式や内容に関わらず、広く故人が自らの死後の
ために遺した言葉や文章。「ゆいごん」と読まれる
ことが多い。
②法律用語
人の死後の法律関係(遺産の分与等)を定めるための
最終意思表示をいう。民法に定める方式に従って行う
必要がある。「いごん」と読まれることが多い。
【遺書】
自殺する人、又は死を覚悟した人が残す文章。
遺される家族、友人などに個人的なメッセージを
送る手紙の意味合いが強い。
いかがでしょうか。
遺言と遺書の大まかな違いについては、
ある程度、常識の範囲かなという気がします。
しかし、遺言については「ゆいごん」と「いごん」
という読み方の違いとともに、法律的に
意味のある遺言にするためには、民法が
定める方式に「厳密に」従う必要がある、
という点が重要です。
私が以前にご相談をお受けしたケース。
重度の知的障害の子をもつ母親からの相談
でした。
自分も年令がすすみ、子の将来を思うと
心配ごとも多いとのこと。
そのため、子の将来のために後事を託す人
あてに、様々なことを書面にまとめていました。
例えば。。
・息子が病気になり、回復不能となったときは
延命治療はしないでください。
・お墓は、水道橋の「●安寺」さんです。お骨は
そこに入れてください。
などなど。
そのお母さんから、
「先生、こんな遺書を書いたんですが、有効
でしょうか?」
と尋ねられました。
お母さんにしてみれば、必死の思いだということが、
ひしひしと伝わってきました。
このお母さんには、遺言と遺書の違い、様々の要望
について、これは「成年後見」、こっちは「死後事務」
ここは「遺言」で手続きします、と説明して
差し上げました。
人が、自分の死後のことを意識したときに、自分の
意思をどう遺していくのかは重要です。
しかし、その内容により、方法は様々あります。
私どものような専門家は、そのような要望に対して
きちんと交通整理をして、道筋を示してあげる
ことが大事だなと思います。
今回のテーマの結論に戻りますと、
遺言と遺書は全く別もの。
子供たちに残す遺産の分け方をきちんと
書いて残しておきたいという場合には、
遺言(いごん)をします。
子供たちに、我が家の家訓や生き方の
書いて残すのであれば、遺言(ゆいごん)
となります。
なお、人生いろいろあるかと思いますが、
くれぐれも遺書を書くことにならないよう、
この娑婆世間、頑張っていきましょう。
■■ 編集後記 ■■
人は、いつかは臨終を迎えるので、その時を
意識しながら、今を生きるということは
とても大事だなと思います。
私も66歳で、残りの年数を数える立ち位置に
なりました。
しかし、昔を振り返っても変えられるわけではない。
明日のことは、明日にならないと分からない。
となると、今日できることを今日やる、という
ことの連続かな~などど、考えたりしながら
このブログを書いています。