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相続コンサルタント/FP/行政書士の野積です。

いつもブログをお読みいただき、
ありがとうございます。

■法定相続分と異なる遺産の分割は問題ないか

相続のことに話題が及ぶと、「法定相続」
という言葉をよく聞きます。

「法定」とあるので、遺産分けは、
その方法によらないといけない、
と思っている方が多いようです。

法律の条文は、その最後に様々な文末が
やってきます。

たとえば、、
A「〜としなければならない。」
B「〜するよう、つとめなければならない。」
C「〜とする。〜による。」
などなど。

これらの意味は、以下のとおりです。
Aは、義務規定。守らないといけません。
Bは、努力義務。頑張ってやってください、という感じ。
Cは、原則的な考え方を表明するもの。

他にも、様々なバリエーションがありますが、
とりあえずこのくらいに。

そこで、「法定相続」の条文はどう書いてあるか。
第九百条(法定相続分)
「同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、
次の各号の定めるところによる。」
と書いてあります。

ということは、これは義務規定ではなく、
原則的な考え方を提示しているもの、
と読めます。

上記の例でいえば、「C」に当たります。

相続は、遺産分割という私的な行為であり、
私的自治の原則から、国権は原則介入しない
ということですね。

ただ、法定相続の定めを置いたのは、
国民の共通認識として許容してもらい、
相続争いは避けましょう、ということ
なのでしょう。

結論からいえば、遺産をどのように
分けるかは、全く相続人の自由です。

相続人間の人間関係が円満であれば、
話し合いでどのように決めてもOKです。

なお、裁判になった場合には、まずは
法定相続分による分割方法が基本となります。

その上で争っている双方の主張や
事実関係を考慮して、判断されます。

「法定相続」との表現から、相続を権利
とみる風潮が強まっているように思います。

確かに、権利という側面はありますが、
それを前面に出しすぎると、
ギクシャクしてしまうでしょう。

親が残してくれた財産に感謝しつつ、
今困っている兄弟に、多目に分けてあげよう、
という思いやり相続、ということがあっても
よいのではないでしょうか。

■■ 編集後記 ■■

本文では、被相続人に財産があった場合の
分割について触れましたが、債務超過だった
場合は、どうなるのでしょうか。

この場合は、俄然「法定相続分」が顔を
出してきます。

被相続人が生前に銀行から借金していた場合、
その債務は原則、相続人が引き継ぎますが、
その引き継ぐ割合は、「法定相続分」
というのが基本になっています。

相続放棄すれば、問題はありませんが、
家業を継ぐような場合は、そうはいきません。

なかなか、やっかいですね。

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